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人が亡くなった場合、慶弔休暇を使って仕事や学校を休んで葬儀に参列するのが慣行ですが、ペットが亡くなった場合、慶弔休暇を使えるかというとなかなか難しいかもしれません。
ですが、ペットが亡くなってペットの火葬をする日、勤めているお仕事や学校を休めるとはかぎりませんよね?
ペットの火葬は、人間の火葬のように斎場で行う場合や、自宅に火葬車を呼んでの訪問火葬の場合があり、訪問火葬の場合は仕事後の遅い時間にも対応しているペット葬祭業者もあります。
ペット葬祭業者の予約状況によっては、どうしても仕事や学校の時間にしか予約が取れない場合、遺体の状況も気になるでしょうから、会社や学校を休んでも良いのかご自身では判断できませんよね。今までペット火葬のご依頼をお聞きしてきましたが、ペットの火葬のために勤めている会社をお休みされる方もいますし、どうしても会社を休めなくて次の休日にお願いされる方もいます。
わたくしどもはご予約の状況もありますが、出来るだけご自身のご都合に合った火葬日程をお勧めしています。今現在はペットの火葬の為の忌引き休暇を取り入れている会社は少ないので、状況に合わせてご予約を取っていただくしか方法がないからです。
しかし、最近はペットへの理解の強い会社も増えてきていますので一度会社と相談してから決められても大丈夫かと思います。
今回は忌引き休暇について、また、今後は社会的にペットが亡くなった時の休暇制度が出来る可能性があるか等についてお伝えします。
犬や猫のペットが亡くなった時、会社は忌引き休暇で休める?休めない?
結論から言いますと、一部の企業を除きましてペットの火葬で休暇を取れる制度は今のところありません。
人の場合ですと忌引き休暇というものがあります。
忌引き休暇とは、亡くなった遺族のお葬式のための休暇です。
亡くなった遺族が近親者であればあるほど忌引き休暇は長くなるとされていますが、会社によって異なってきます。
人の場合の忌引き休暇の日数
亡くなった遺族 | 日数 |
配偶者 | 10日 |
ご両親 | 7日 |
ご両親(喪主として) | 10日 |
お子様 | 5日 |
兄弟・姉妹・祖父母 | 3日 |
叔父・叔母 | 1日 |
残念ながらペットの場合だと、忌引き休暇が無くて有給休暇を使う場合が多いようです。
ペット以外の理由であれ、遅れる事や、早退する事、また休む事に対して引け目を感じるような人が多い職場環境などを見ると、ペットが亡くなった事を理由に有給休暇を使うことを会社に言えるでしょうか?アンケートから一部抜粋しましたが様々な意見があるようです。
否定的な意見
・親族が亡くなったのではなくペットが亡くなっただけで休まないでほしい。
・私はペットの死で会社を休む事には反対はしない。しかし会社には認めない人もいるので理由は言わない方がいい。
・嘘でもいいので風邪や体調不良などの理由で休んでほしい。人ではなく、ペットの死で会社を休むのは社会人としてのモラルに欠けると思う。
・ペットの死で会社を休むことにより同僚にも迷惑をかけているし、その理由がペットなのもどうかと思う。
・自身もペットを飼っていたがそのペットが亡くなった時、辛かったが無理して会社に出社し仕事をした。当然のことだと思う。
・人の葬儀でも早めに出社するようにしている人もいるので、ペットの火葬なら終わった後にでも会社に出てきて仕事をするべきだ。
・ペットを飼ってない人には関係のない話だ。
肯定的な意見
・ペットの火葬を火葬業者に依頼しなくちゃいけないので、電話をしたり遺体を渡したり、業務的にも休まなくてはいけないのでは?正直に言っても良いと思う。
・子供の用事で休む人もいるし、大好きなバンドのライブで休む人だっているので、ペットの死で休むのはありだと思う。
・有給休暇で旅行とか遊びで休む人もいるのだから、ペットが亡くなって仕事が出来ない状態なら休むのは当然だと思う。
・私はペットを飼っていないが飼っている人の気持ちで考えると辛いと思う。辛い気持ちで仕事をするよりはしっかり休んで気持ちを落ち着けた方が良いと思う。
・ペットは家族と同じような時代だと思うから社会がそういう仕組みを作るべきだと思う。
・その時はしっかりとお別れをして、出社した時にしっかりと遅れた仕事を取り返せれたら良いのではないでしょうか。
・私の知り合いは人と同じようにお葬式もして私も参列した。私のペットが、もし亡くなったらお葬式をすることを会社に伝えて休ませてもらいます。
ペットが亡くなった時は自身が受けるショックだけではなく、実際にペットのご遺体をどうするかなど、考えたり行動したりしなければいけません。ペットの火葬を休暇の正当な理由とするかどうかは、会社次第にもなりますので、さまざまな意見がありますがやはり環境によって理由を考える必要があるのかと思います。
有給休暇は理由を問わず休むことが出来ますので、理由によって有給を許可しなかったり、有給の理由を提示させたり(労働基準法違反になります)する事を会社は出来ません。ただし、就業規則等によって、有給休暇に関する記載があればそちらが優先されるので確認されることをお勧めします。また、労働基準法で有給の理由の報告義務は無いといっても、会社内の人間関係、上司からの評価などを考えると、どうしても正当な理由というものが必要に思えてきますね。
日本よりも進む米国のペットの忌引き事情
ペット先進国のアメリカでは、既にいくつかの企業でペットの死を悼むための休暇制度を導入して、企業にもよりますが1~3日の有給休暇を取ることが出来るようです。もともとアメリカでは、ペットとして飼われている犬のほとんどは室内で一緒に暮らし、寝る時もベッドで一緒に寝て、まさに家族同然の存在です。
そんな環境や考えがあったからこそ、ペットを失った時も自然に人間の時と同じ考えを持つようになってきたと思います。
さらに、アメリカではペットロス専門のカウンセラーも身近な存在として当然います。
日本では今現在もペットの飼育頭数は増えていますが、それに伴い、ペットへの考えも変わってきて、ペットを家族と同じように接する家庭も増えてきました。そして日本でもペットに対して同じような制度を取り入れた会社が出来始めました。
2016年に日本でも初めてペットの忌引休暇を取り入れた会社が存在
ペット向けの保険を扱う「アイペット損害保険株式会社」では、社員が飼っているペットが亡くなった時に「ペット死亡時の忌引き」として最大3日間の休暇を取る事が出来る制度を導入した。
これは兄弟 ・ 姉妹 ・ 祖父母が亡くなった時の「忌引き休暇」と同じ規定日数にあたります。
「ペット死亡時の忌引き」休暇の申請には、「死亡診断書」もしくは「火葬証明書」など、ペットの死を証明する書類が必要となりますが、「ペットを失う悲しみは家族と変わらない。家族を弔うのと同じようにお葬式などの時間にあててほしい」(広報担当者)
とのことです。
同社の犬や猫を飼っている従業員が33パーセントに上ったことと、以前からペットを亡くした時に休暇が欲しいという要望があったことから、働き甲斐のある職場環境を作るために休暇制度を導入したそうです。さらに同社はペットと過ごす時間のための休暇として「ペット休暇」として、1年に2日取得することが出来るそうです。
その他にもペットに関わる制度を導入している企業があります。
大手通販サイトのAmazon ジャパンですが、ペット用品部門では通常の有給休暇とは別に、さらに自身と家族、そしてペットの病気などの看護のために1年に5日休暇が取れる「パーソナル休暇」の制度を導入しています。
またペットフードなどで知られる日本ヒルズ・コルゲートでは「扶養ペット慶弔規程」という制度を導入しており、社員がペットを飼い始めた時には1匹につき1万円のお祝い金とペットフードなどが贈呈される。ペットが死亡した場合も1万円の弔慰金と1日の忌引き休暇、さらには社長名にて忌電が送られる。
他にも、動物医療のアイデックス ラボラトリーズ株式会社でも、前社のように社員ペット慶弔規定として同等の制度を導入している。
さらには社員のペット健康診断イベントを開催するなど、ペットの健康の状態を確かめる機会として今後も開催される見通しです。
まとめ
今後は、ペットの忌引き休暇も人の忌引き休暇のように認定されていく企業が増えていくのではないかと思っています。というのも、ペットを家族のように愛している飼い主も増えていくなかで、「アイペット損害保険株式会社」のようにペットと同居している従業員が多い会社も少なくなく、会社側も従業員のペットを家族の一員としての対応を取るべきといった風潮になっていくと考えられるからです。
そんな社会にしていくのは自分たち自身でもあり、一人一人の考えが集まって会社を動かすことが出来れば、いつかペットの火葬で会社を休める時代はやってくると思います。
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2106年まで日本のどこにもペット休暇取れる企業現れないのか…
ご指摘ありがとうございます。
修正させて頂きました。