和歌山 ねこ駅長「たま」社葬 しっかり見送ってあげたい

和歌山県の和歌山電鉄というローカル線に、猫が駅長を務める駅があるのをご存じでしょうか?
駅長服を着こなし、お客さんを穏やかに迎えるその姿は…まさに駅長そのもの。
今回は、2015年に亡くなった駅長「たま」のご紹介をします。
たまはどうして駅長になったのか、亡くなった後きちんと弔ってもらえたのか?気になる疑問を解説していきますね。

世界初?!猫の駅長「たま」

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たま駅長ってどんな猫?

たまは1999年4月に生まれたメスの三毛猫で、2015年6月に亡くなるまで和歌山電鉄貴志駅の駅長を務めていた、めずらしい猫です。とても穏やかで人懐っこく、訪れるお客さんを和ませていたと言います。
猫が駅長に就任したということで貴志駅は世界的に有名になり、たま駅長に会うために、海外からも多くのお客さんが訪れました。
それまで廃線の危機にあった貴志川線を救った、本当の招き猫かもしれませんね。

二代目ニタマ駅長、よんたま駅長も

じつは貴志駅と隣の伊太祈曽駅は、ほかの猫も駅長として活躍しています。
2012年から、たまの駅長代行としてニタマが就業し、ニタマはその後、駅長代行を務めながら、隣の伊太祈曽駅長としても勤務するようになります。
たま駅長が亡くなったあとは、正式に「たまII世駅長」を襲名し、いまは貴志駅の駅長として大活躍中ですよ。
ニタマが貴志駅の駅長に就任したことで、伊太祈曽駅長には、よんたま駅長が就任しました。よんたまは貴志駅の駅長代行も務めており、無理のないようにサポートしあいながら仕事に就いているようです。
ちなみに仕事外の時間は、普通の民家で飼われているのだとか。
和歌山電鉄のホームページには、彼らの出勤スケジュールが公開されていますよ。

現在はガラスケース内でのんびりお仕事中

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たま駅長が全国的に人気になったころから、たま駅長目当てに貴志駅を訪れるお客さんも増えました。
ただ、中には電車に乗らずに写真だけ撮って帰ったり、駐車場がない貴志駅に車で来たりと困った人もいたと言います。
また、当時自由に暮らしていたたま駅長に、勝手に食べ物をあげたり犬を引き合わせて驚かせたりといったケースもありました。
そういった経緯もあり、猫駅長たちが安心して過ごせるよう、現在はガラスケースが設けられており、その中で駅長の勤務にあたっているようですよ。
見に行く場合は、仕事の邪魔をしないよう、そっと覗いてあげるようにしたいですね。

たまはなぜ駅長になったの?

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貴志川線の歴史

現在の和歌山電鉄貴志川線は、以前は南海電鉄が経営していました。しかし長年の赤字路線だったことから廃線の危機となり、岡山電気軌道が出資して事業を継承し、立て直しが図られることになりました。
和歌山電鉄には、地元の自治体や沿線住民・学校関係者・商工会のメンバーで構成される「貴志川線運営委員会」があり、地域全体で貴志川線を守っていく取り組みを行っています。
現在は、猫の駅長やデザイン性の高い車両を取り入れることで国内外にファンが多く、人気の観光スポットとなりました。

小嶋社長との運命の出会い!

ところで、たまはどこからやってきたのでしょうか?
じつは、たまは母親のミーコと一緒にもともと貴志駅の売店と倉庫で飼われていた猫なのです。
貴志駅近辺の整備で、たまたちが住んでいた場所が取り壊されることになり、小嶋社長のもとに「たまを駅舎で飼ってもらえないか」という相談が舞い込みました。
たまを見た小嶋社長は、目が合った瞬間にたまの駅長姿がひらめいたというから、すばらしい商才ですよね。
こうして、たまは猫の駅長として就任し、大活躍することになったのです。

たま駅長は社葬で見送られた

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たま駅長は16歳まで現役?!

和歌山電鉄貴志川線は、たまが駅長に就任してから約1年で、約7%もお客さんが増えたそうです。
きちんとと駅長服を身に着けて数々のイベントをこなすその姿は、駅長そのものですよね。
たまは16歳まで現役でしたが、鼻炎で入院したあとは復帰することなく亡くなってしまいました。

貴志駅構内でしっかりと社葬が行われた

たまが亡くなった後、神道形式の社葬が貴志駅構内で行われました。
たまを駅長にした小嶋社長が弔辞を捧げ、「名誉永久駅長」の称号をたまに追贈しています。
さらに、たまの没後1か月後に、岡山電気軌道の東山線全線で「たま」を追悼する特別な列車が運行されました。
たま電車の車内の広告のところに、在りし日の「たま」をとらえた写真28枚を掲示した列車です。
たま駅長の功績に感謝し、安らかに眠ってほしいという願いが込められているように感じますね。

貴志駅には「たま神社」も

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社葬のあと、和歌山電鉄は、貴志駅に鎮座する神社の一つを「たま神社」と命名しました。
小嶋社長と和歌山県知事らも参列して宮開き神事が行われ、神社に「たま」の銅像2体を設置したということです。
たまが亡くなってしまった後も、たまは貴志駅の守り神様として温かく見守ってくれているのかもしれません。

ねこ駅長「たま」は永遠に

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たまは、もともと貴志駅にいた猫でした。ひょんな出会いで駅長となり、きっとたま自身もびっくりの一生だったと思います。
仕事は大変だったかもしれませんが、もともと住んでいた場所で天寿を全うできたのは、たまにとっては良かったのではないでしょうか。
たまが亡くなった時、訃報は世界中で報道され、社葬や追悼イベントも行われました。
今でも、当時のたま駅長を偲ぶイベントなどが開催されていて、多くの人が、たまを駅長として猫として慕っていることが伺えます。
機会があれば貴志川線に乗って、たま駅長に想いを馳せてみるのも良いかもしれませんね。

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岩下ちくわ
大学の農学部で人と動物の関わりについて学び、現在は2匹の元保護犬と暮らす、動物が大好きなライター・ペット栄養管理士です。 犬や猫を初め、動物との暮らしに役立つ情報を、分かりやすくお伝えしていきます。
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