ご遺骨にも影響する?ペットの歯周病のお話

ペットも歯周病になることをご存じでしょうか?
ペットフードの多様化やペットの長寿にともない、生活習慣病の一つとして歯周病が問題になっています。
重症化した歯周病では顎の骨が壊れることもあり、ご遺骨の形が変わったり崩れやすくなったりといった悲しい事態が起こってしまうかもしれません。
そこで今回は、ペットの歯周病について詳しくお伝えします。ぜひ参考にしていただき、ペットの快適な暮らしを守ってあげてくださいね。

ペットも歯周病になる?

②ペットも歯周病になる? ご遺骨にも影響する?ペットの歯周病のお話

歯周病とは

歯周病は、歯茎だけに起こる歯肉炎と、歯肉や骨周辺に起こる歯周炎を合わせた病気のことです。
歯周病では歯を支える組織が壊れ、歯周ポケットという、歯と歯茎の間の隙間に膿がたまる歯槽膿漏が起こります。
歯肉炎は治療によって治せることが多いですが、歯周炎に進行すると壊れた組織を回復することができないため、最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。
ペットは人のように口を開けたまま我慢してくれません。治療するためには麻酔を使う必要がありますが、高齢のペットでは麻酔に耐えられないこともあります。そのような場合は治療自体が難しくなってしまうのです。

3歳以上の犬や猫は8割以上が歯周病

フードやおやつといった食の多様化が進んだことから、3歳以上の犬・猫のほとんどが歯周病にかかっていると言われています。
ですが、ペットの歯周病はご家族様にあまり知られておらず、ひどい口臭や出血、膿などの症状が出たことで動物病院に行き、初めて歯周病を知るというケースも多いのです。
ペットの口臭は当たり前ではありません。歯周病をはじめ病気のサインということもありますので、見逃さずに早めに対処してあげたいですね。

歯周病になるのはなぜ?

③歯周病になるのはなぜ? ご遺骨にも影響する?ペットの歯周病のお話

歯周病のしくみ

口内で細菌が繁殖して、食後6~8時間後には歯垢となって歯に付きます。この歯垢に唾液中のミネラルが溜まって3日もすれば歯石になり固まります。歯石の表面はざらざらしているので歯垢が付きやすく、歯垢がたくさん溜まってしまうと、それに反応して歯肉に炎症がおこります(歯肉炎)。
さらに、歯と歯肉の間の隙間「歯周ポケット」に歯垢が溜まると、悪玉菌の塊ができます。歯周ポケットの奥は、歯ブラシが届きにくく酸素も入りにくいため、毒素を出す悪玉菌が増えてしまいます。この毒素や悪玉菌の副産物によって、歯周ポケットのまわりの組織、その奥の歯根膜、歯を支える歯槽骨がどんどんと破壊され歯周炎になります。
歯周炎が進行すると、歯を支えることが出来なくなるので、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。

歯周病の原因は複数ある

歯周炎は、歯垢の中の細菌(病原菌)とその副産物によって起こると考えられていますが、歯垢が溜まることだけが原因というわけではありません。
歯垢や歯石の溜まり具合、食事内容、噛み合わせといった口腔的な要因と、ペットの年齢、ストレスの度合い、代謝疾患など、全身状態の要因も関係するのです。
ペットの口臭が気になる、口元を触ると嫌がるといった症状が見られたら、早めに動物病院に相談することをおすすめします。

品種による歯科疾患の違い

一般的に、小型犬は中型や大型犬にくらべて歯周病にかかる割合が高く、進行も早いと言われています。
ダックスフントやイタリアングレーハウンドは歯周病になりやすく、チワワやヨークシャーテリア、ポメラニアンは永久歯が生えても乳歯が残ってしまう症状が多く見られます。
猫では、歯が溶けて顎の骨に吸収される症状が起こりやすいです。

ペットの歯周病のリスク

④ペットへのリスク ご遺骨にも影響する?ペットの歯周病のお話

鼻腔や顎に影響する

犬や猫の歯の根っこは、顎の骨に突き刺さるようにして固定されています。
上の歯の根っこは鼻腔のすぐそばなので、歯周炎になると鼻水やくしゃみが増えたり、頬のあたりから溜まった膿が破裂して出てきたりすることがあります。
また、歯周炎により顎の骨が破壊され、気付いたら骨折していたということもめずらしくありません。

体内に病原菌が侵入する

歯周病は、歯垢の中の細菌による感染症の一種ですので、患部から体内に病原菌が入り込むことがあります。心臓や腎臓などに影響することもあるので、免疫力が落ちる高齢のペットの場合はとくに注意が必要です。

歯周病を予防しよう

⑤歯周病を予防しよう ご遺骨にも影響する?ペットの歯周病のお話

ブラッシングが大切

歯周病を予防するためには、歯周ポケットに歯垢を溜めないことが重要です。歯ブラシを使った歯磨きは、歯の表面と歯周ポケットに溜まった歯垢を取り除くことができますので、歯周病予防にはとても効果的ですよ。
ガーゼやゴム製の歯磨きグッズなどもありますが、歯周ポケットの歯垢を搔き出すことはできません。歯はきれいなのに、歯周病が進行していたというということもありますので、要注意です。
すでに歯石が溜まってしまっている場合は、麻酔が必要ですが、動物病院で歯石除去してもらうこともできます。専門家に任せるようにしてくださいね。

硬すぎるおもちゃには要注意

犬や猫は顎の力が強いですが、歯が非常に丈夫という訳ではありません。硬いものを噛むと、歯がすり減ってしまったり折れたりすることがよくあります。
硬さの目安は、ハサミで切れるくらいです。ストレス発散のためにおもちゃを噛ませたいなら、時間を区切ったりして夢中になりすぎないように工夫してあげる方が安心ですよ。

歯周病ケアのフードも

インターネット検索すると、ペットのデンタルケアに良いとされるフードやおやつ、サプリなどがたくさん見つかって、どれが良いのか悩んでしまいますよね。
アメリカには、獣医口腔衛生委員会(VOHC)があり、獣医歯科認定医が中心となって市販製品を審査しデンタルケアに有効な製品を認定しています。こういった基準を目安に選んでみるのも良いかもしれませんね。

ペットを歯周病から守ろう

⑥ペットを歯周病から守ろう ご遺骨にも影響する?ペットの歯周病のお話
ペットの歯周病は、深刻なペットの生活習慣病の一つとなっています。重症化すると、顎の骨が折れたり全抜歯しないといけなくなったりして、ペットの生活の質が下がってしまう可能性もあります。
歯周病予防には、定期的な検診と毎日のホームケアが大切です。
毎日の歯ブラシを使った歯磨きと、歯に負担をかけ過ぎないおやつやおもちゃを選びで、ペットを歯周病から守ってあげましょう。

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岩下ちくわ
大学の農学部で人と動物の関わりについて学び、現在は2匹の元保護犬と暮らす、動物が大好きなライター・ペット栄養管理士です。 犬や猫を初め、動物との暮らしに役立つ情報を、分かりやすくお伝えしていきます。
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